-黒田福美エッセイ- 美食浪漫

第1回連載 【美食浪漫】ご挨拶

韓国の「食」にまつわるお話を書かせて頂こうと思っています。

美食浪漫 写真 黒田福美です。
この度、『韓哲文化財団』のホームページで「美食浪漫」のコーナーを担当させて頂くことになりました。どうぞよろしくお願い致します。

韓国を日本の皆様に紹介することに携わって、はや25年が経ちました。

韓国の何処へ行っても、仕事でもプライベートであっても、常に取材者として「面白いモノ」「美味しいもの」「見るべきもの」を探し回ってきた25年の歳月でした。
そんな私の体験のなかから韓国の「食」にまつわるお話を書かせて頂こうと思っています。
隔週更新いたしますので、せひお気軽に立ち寄ってみてくださいね。

さあ、これから毎週韓国の「食の魅力」を皆さんとご一緒に「美食浪漫」で探求してゆきましょう。

2003年から巻き起こった「韓流ブーム」はさまざまな面で日本人に韓国への深い理解をうながしましたね。
ドラマのなかには韓国の日常の食べものが自然に登場しますし、『チャングムの誓い』では宮中料理の多彩さ、奥深さが映像とともに紹介されていきました。
韓国料理といえばキムチと焼き肉、冷麺くらいしか思いつかなかった人たちも、五味五色に彩られた韓国料理のなかに潜む哲学に驚かれたことと思います。

ところでこの「五味五色」というのはどういうことなのでしょうか?
韓国料理には五つの味と五つの色彩が必須要素です。
五味とは「塩味・甘み・酸味・苦み・辛み」であり、五色とは「赤・黄・緑・白・黒」の五色です。
五つの味わいがバランス良く食卓に上がっており、また料理の中には五色の彩りがとりどりにあれば栄養が偏ることがないという韓国人の知恵でもあったわけです。
更には「煮る・焼く・蒸す・揚げる・あえる」など五つの調理法も食膳に重複することがないように工夫されたのです。

美食浪漫 写真 数年前、中国料理の「薬膳」というものが注目されたことがありますが、韓国料理にはことさら「薬膳」というものがありません。なぜなら「五味五色」の法則に従えば自然にバランスのとれた食事になるからです。
その上、韓国料理に多く使われる香味野菜(ネギ・ニンニク・生姜・唐辛子・ニラ・ゴマ等々)はどれもが健康効果にすぐれています。また、香辛料として用いられる高麗人参や棗、当帰・甘草・肉桂・丁字などはまさに韓方薬剤。
更に「宮合(クンハプ)」といって食べ合わせの良い食材(たとえば豚肉には塩より「アミの塩辛」を合わせる・犬肉にはゴマではなくエゴマを使うなど)の組み合わせも配慮されており、韓国料理にはまさに「医食同源」の知恵がふんだんに込められているのです。
韓国料理はすべてが「薬膳」なのですから、ことさら「薬膳」を売り物にする必要がなかったというわけです。

とにかく韓国人は モメ チョッタ」(身体にいい)ことが大好きときています。
さあ、これから韓国の「食の魅力」を皆さんとご一緒に「美食浪漫」で探求してゆきましょう。

次回更新をお楽しみに。

筆者プロフィール

黒田 福美 (くろだ ふくみ) 女優・エッセイスト
 東京都出身。 映画・テレビドラマなどで俳優として活躍する一方、芸能界きっての韓国通として知られる。テレビコメンテーターや日韓関連のイベントにも数多く出演、講演活動なども活発におこなっている。韓国観光名誉広報大使、日韓交流おまつり2009InTokyo実行委員も務め、著書に『ソウルマイハート』『ソウルの達人 最新版』(講談社)などがある。韓国地方の魅力を紹介したDVD『Ryu・黒田福美が行く韓国四季の旅』も好評発売中。09年は『ビバリーヒルズチワワ(吹き替え)』(Disney)、『ゼロの焦点』(東宝)に出演。
黒田福美ブログ http://ameblo.jp/kuroda-fukumi/
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