2017年度の助成対象

Grant for 2017

2018年3月5日(月)、2017年度助成証書授与式を東京国際フォーラムにて執り行いました。式典には元衆議院議長の伊吹文明衆議院議員、日韓親善協会中央会会長の河村建夫衆議院議員、在日本大韓民国民団中央本部の呂健二団長をはじめ各界のお歴々がご出席されました。
授与式では韓昌祐理事長から、3団体、4個人の助成受贈者へ助成証書が手渡されました。続いて祝賀コンサート、日韓交流レセプションが開かれました。
日韓交流レセプションには駐日大韓民国大使館から李洙勲(イ スフン)大使のご列席を賜り、終始和やかな雰囲気のもとに閉会しました。

助成受贈者(※敬称略)

  • Bae Sang-Sun(ベ サンスン) 画家/2008新世界Gallery優秀賞

    リサーチプロジェクト『韓国・大田の日本人』 韓国中部にある第5の都市大田(テジョン)に鉄道関係の技師が暮した蘇堤洞(ソジェドン)という街がある。鉄道は植民地時代の近代化の象徴であった。戦後、日韓関係は鉄路のように平行線をたどった。かつて蘇堤洞で暮らした技師を2年かけて調査し、知られざる歴史を掘り起した。取材した映像や線路をモチーフに、芸術的想像力で交わらない日韓に接点を見出そうとする試み。現代美術のインスタレーションの方法を用い、空間全体を作品化する展示会を開催する。
  • 齋藤 邦明(サイトウ クニアキ) 藤田保健衛生大学大学院教授/同大学長補佐

    日韓共通課題である薬物依存の解明と治療 違法薬物を摂取した経験者は日本が267万人、韓国が135万人といわれている。薬物依存とその対策に、韓国の国立江原(カンウォン)大学と過去15年間共同研究の実績を積み重ね、協力体制を築いてきた。朝鮮人参が薬物依存の神経毒性に効果があるなど共同研究の成果は国際学術誌に60本以上発表してきた。
    薬物依存はグローバル化し、薬物依存の解明と治療は急務になった。韓国・江原大学の優れた研究陣と連携して、日韓共通課題に挑戦する。
  • 日下部 信(クサカベ シン) 福岡・釜山交流ひろば代表/劇作家/九州大谷短期大学表現学科准教授

    日韓小劇場演劇の研究と表現技術の実践 北九州、福岡で日韓の文化交流が急速に盛んになっている。劇団「福岡・釜山交流ひろば」もその一つだ。日韓の演劇人がそれぞれの国の戯曲を交換。演出家と役者が玄界灘を渡り、その地に滞在しながら芝居作りに集中する。過去4年間、福岡・釜山交流ひろばが釜山で公演し、釜山の劇団が福岡で公演した。お互いの演劇的差異を認め、それらを融合させ、演劇交流から共存へ。これからさらに進化した演劇作品の創作によって、国境を越える。
    *写真は代理の山下晶さん。
  • 梁 英姫(ヤン ヨンヒ) ドキュメンタリープロジェクト『母の鶏スープ』代表/映画監督/作家

    母の人生を追うドキュメンタリー映画製作 デビュー作の『ディア・ピョンヤン』では朝鮮総連幹部の父親を中心に日朝の歴史の狭間で揺れる家族模様を描いた。劇映画『かぞくのくに』では、帰国事業で北朝鮮に渡った兄が来日した時の家族の様子を表現した。
    そして現在制作中のドキュメンタリー映画『母の鶏スープ』では、大阪・鶴橋に生きる母親を通して、母のルーツ済州島(チェジュド)の歴史を紐解く。日本、韓国、北朝鮮にまたがる家族を題材に、家族三部作の最終章を完成させる。
  • 劉 庭秀(ユ ジョンス) 東北大学大学院国際文化研究科教授

    静脈産業における在日韓国人の社会・経済・国際的役割の変遷 植民地時代、土地を奪われた朝鮮農民は流民となって日本に渡る。この時、在日コリアン一世の多くは個人経営の古物商から出発。その後、戦後生まれの二世は先代の経営権を譲り受け企業に成長させた。そして三世は新しい経営手法や大型設備を導入、静脈産業が発展した。2000年以降、鉄スクラップ業者と韓国鉄鋼業界の交流は活発化。日韓静脈産業はアジアの資源循環の重要な位置を占める。在日韓国人が果たした役割、変遷を追って書籍を出版する。
  • 鈴木 明(スズキ アキラ) 一般社団法人パフォーミング・アーツ・ラボラトリー理事長/作家 山川 三太/舞踏評論家

    パフォーミング・アーツによる日韓文化交流 天才舞踊家の冠をつけた「石井漠・土方巽記念国際ダンスフェステイバル」は7月~11月にかけて開かれる秋田県の一大国際イベント。この祭典で、一般社団法人パフォーミング・アーツ・ラボラトリーは韓国部門を受け持つ。
    理事長は山川三太の名で劇作家、演出家として活躍した。そうした舞台経験を活かして韓国から優れたダンサーを招聘し、日本のダンサーを韓国に派遣している。日韓ダンス文化交流を推進しながら、先駆者の芸術を継承する。
  • 金 知秀(キム チス) 2017年アジアジュニア選手権優勝柔道選手/夙川学院高校

    在日女子初の韓国代表として東京五輪でメダルを目指す 2016年7月に、高校1年生で全国高校総体の柔道女子48kg級で優勝。一躍、脚光を浴びた。同年10月には、韓国国体の48kg級で優勝。その後、2017年7月に開かれたアジアジュニア選手権に女子57kg級で出場。見事に優勝を果たし、アジアジュニア選手権のチャンピオンに輝いた。
    2020年開催の東京五輪では韓国代表が確実視されている。在日女子初の韓国代表の柔道選手として東京五輪に臨み、メダルの獲得を目指す。