2016年度の助成対象

Grant for 2016

2017年3月14日(火)、2016年度助成証書授与式を駐日韓国大使館・韓国文化院にて執り行いました。式典には、元衆議院議長の伊吹文明衆議院議員、日韓親善協会中央会会長で元内閣官房長官の河村建夫衆議院議員、在日本大韓民国民団中央本部から呉公太団長をはじめ各界のお歴々の御列席を賜りました。 授与式では韓昌祐理事長から3団体、5個人の助成受贈者へ助成証書が手渡されました。続いて祝賀コンサート、記念レセプションが催され、終始和やかな雰囲気のもとに閉幕しました。

助成受贈者(※敬称略)

  • 仲尾 宏(ナカオ ヒロシ) 京都造形芸術大学歴史遺産学科客員教授

    朝鮮通信使資料の歴史的・社会的価値の再検証 日韓の民間団体がユネスコ記憶遺産に登録申請中の「朝鮮通信使」関連資料。日本では縁のある地域で、国際交流やまちづくりなどの社会的活動にも寄与しています。各地に所在する朝鮮通信使資料の歴史的・社会的な価値について、地域性と国際性という視点から再検証。ユネスコへの登録申請過程で得られた調査研究を総括し、研究の新たな視座を展望します。
  • 野原 耕二(ノハラ コウジ) 創造する伝統実行委員会事務局長/音楽プロデューサー

    正倉院宝物箜篌(くご)=百済琴の復元と演奏 音楽的歴史観を考えたとき、日本音楽の確立には朝鮮半島の音楽文化が重要な存在となっています。ハーブに似た古代東アジアの楽器「箜篌(くご)」は、百済経由で日本に伝来したものを「百済琴」とも呼ばれました。平城遷都1300年以降、形状が正確に研究され、それをもとに「箜篌」を復元するとともに、楽曲も制作し、新しい音楽活動として展開していきます。
  • 盧ユニア(ロ ユニア) 東京大学人文社会系研究科文化資源学研究専攻

    韓国における工芸概念の成立─総督府文化政策を中心に 現在、韓国の有形・無形文化財の多くを工芸品が占めていますが、韓国で工芸の用語や概念が導入されたのは植民地期であり、朝鮮総督府の文化政策、ひいては明治政府の殖産興業のための工芸政策と深く関わっていました。韓国を表象する韓国の工芸に対する普遍的認識と概念が、いつ、どのように成立し、現在においてどれほど有効であるのかを具体的事例を通して探っていきます。
  • 寺田 鮎美(テラダ アユミ) 東京大学総合研究博物館/インターメディアテク特任准教授

    博物館内での日韓アーティスト&研究者協働の演劇創作 「インターメディアテク」は東京大学総合研究博物館が学術研究を担い、また、東京駅前という立地条件から、積極的に国際的な活動を行っています。日韓のアーティストと研究者による「Play IMT」という演劇創作プロジェクトがあり、博物館の空間や展示物を着想源として、独創的な演劇を生み出そうとする「Play IMT」の集大成として、オリジナル作品の制作と公演を行います。
  • 金 基 鎬(キム ギホ) 一般社団法人小さな鈴の音代表

    日韓中・視覚障害者との中国万里の長城マラソン&富士山登山 ランニングを通して、視覚障がい者を応援するとともに、日本・韓国・中国の人々の友好な交流を活性化したい。そんな想いから始まった「小さな鈴の音」プロジェクト。日韓中の視覚障がい者と伴走ランナーが、それぞれ異なる国の人と絆ロープを握りながら走り、三カ国友好の重要性を訴えています。2017年は、中国万里の長城マラソン、日本富士山の登山に参加する予定です。
  • 清水 俊平(シミズ シュンペイ) 東京藝術大学大学院映像研究科教育研究助手

    現代の在日韓国人像を活写する劇映画の制作 在日コリアン3世と日本人女性のドラマを描いた映画『ふざけるんじゃねえよ』で、監督デビュー。現在は、在日コリアン4世の青年を主人公にした劇映画を企画中です。2019年を舞台に、主人公がサッカーと日本人との交流を通じて、自らの国籍について向き合う青春映画となる予定で、国際映画祭などへの出品や一般公開をめざしていきます。
  • 片山 真理子(カタヤマ マリコ) 東京藝術大学美術学部附属古美術研究施設非常勤講師

    建仁寺両足院所蔵朝鮮美術関連資料─整理と調査事業 京都にある建仁寺両足院には、朝鮮通信使に関わる絵画や朝鮮関係の古文書などの美術資料を所蔵しています。しかしながら、それらの鑑定と整理調査が重点的に行われていなかったため、2年間で整理を伴う調査を試み、成果を両足院のホームページで公開します。調査で得られた情報は両足院の財産かつ公益性、未来性があります。日韓文化交流の礎として活用していきます。
  • 任 龍 在(イム ヨンジェ) 群馬大学教育学部障碍児教育講座准教授

    日韓・次世代の障碍者グローバルリーダー育成事業 日韓の障害学生のグローバルマインドを高め、次世代の障害者グローバルリーダーとして育成する事業。参加学生には、今の時代を生きるアイデンティティの確立、英語によるコミュニケーションやプレゼンテーションのスキルアップなどを指導し、支援します。群馬大学と延世大学などとも協力し、成果は日本特殊教育学会で発表するとともに社会にも発信していきます。