2019年度の助成対象

Grant for 2019

 2020年2月25日(火)、韓昌祐理事長と韓裕副理事長が新型コロナウイルスの感染拡大を予防する観点から、3月11日(水)に東京・新宿区四谷にある韓国文化院で開催予定だった2019年度助成証書授与式を延期しました。
 この後、4月7日(火)に政府は非常事態宣言を発出し、5月26日(火)には47都道府県で非常事態宣言が解除されました。
 しかし、非常事態宣言の解除は経済回復の政治決断であり、疫学的な見地からの解除でないため、感染リスクは残ったままです。
 延期した2019年度助成証書授与式を、どのタイミングで再開するか。新型コロナウイルスの感染状況を見極めながら、考えていこうと思います。
来年3月開催予定の2020年度助成証書授与式は、当財団創立30周年の式典になります。

助成受贈者(※敬称略)

  • K-BOOKフェスティバル2020 実行委員会 実行委員長
    金 承福(キム スンボク) 株式会社クオン代表取締役/ブックカフェCHEKCCORI経営者

    韓国の作家、日本の出版社、読者が一堂に会すK-BOOKフェスティバル2020を東京で開催  「K-BOOKフェスティバル実行委員会」は、韓国文学の日本での普及に尽力してきた金承福氏により2018年11月に結成され、現在は大手出版社を含める14社が加盟している。日韓の文学交流と両国の翻訳出版の振興をうながし、日韓の友好関係の発展にも寄与している。日ごろ、顔を合わすことのない韓国の作家と日本の出版社、編集者、読者が一堂に会す「K-BOOKフェスティバル2020」を神田神保町で開催し、韓国文学を通して日韓交流を図る。
  • 権 泫珠(コン ヒョンジュ) 岡崎女子大学 子ども教育学部 教授

    子ども食堂、子どもの居場所づくりのための日韓比較研究によって、「地域的養護」の仕組みをつくり、地域の福祉力をアップする  子どもの貧困・虐待・孤立などを背景に、国内の「子ども食堂」は急増し、全国に約3700カ所あると推定されている。しかし、それらは個人の善意で運営されていることが多く、必ずしも持続可能な組織になっていない。
    韓国では1970年代~80年代に、「勉強部屋(コンブパン)」という子ども食堂に類似した組織が作られた。それが後に自治体が運営する「地域児童センター」に発展した。そうした組織の変遷や運営のノウハウを調査して、日韓の実践家たちと共に持続可能な「子ども食堂」 の在り方をめざす。そして地域の福祉力の向上につながる「地域的養護」の仕組みを提言する。
  • 金 沙織(キム サジ) 写真家 「キャノン写真新世紀2016」でグランプリ受賞/京都芸術大学 講師

    歴史に翻弄されたサハリン在留韓国人・日本人の現在を撮影し、作品展示報告会を北海道、東京、京都で開催する  2019年1月に初めてサハリンを訪れた。この時、在留韓国人、在留日本人と出会い、彼らが祖国へ言い知れぬ郷愁を抱いて生きていることに衝撃を受けた。
     それを機にみずから所属する金一志(キムイルチ)韓国伝統芸術院と日本舞踏家に協力を要請し、サハリンで「日韓伝統舞踊会」の開催を企画した。日韓の舞踊団に同行し、国家や民族を乗り越えて多層な家族を形成してきたサハリンの人々を取材、撮影し、作品を制作する。
     その後、北海道、東京、京都で、作品報告会を開く。
  • 韓国新人劇作家シリーズ実行委員会 委員長
    鈴木 アツト 劇作家/演出家

    韓国演劇界の登竜門「新春文芸」受賞作品を日本で翻訳、上演し、演劇を通して日韓文化交流の拠点をめざす  委員長の鈴木氏は、2019年5月に演出家中心の「韓国新人劇作家シリーズ実行委員会」を設立した。韓国の大手新聞社が主催する「新春文芸」は、韓国で新人劇作家の登竜門と呼ばれている。鈴木氏を中心にした実行委員会は、今後、「新春文芸」の受賞作品を翻訳し、日本で上演を続けていく。
     受賞作品を通して、将来飛躍的に期待される劇作家の才能を発掘しながら、演劇を通して韓国社会が抱える問題を発信する。また実行委員会を探究の場とする。さらに韓国文化を知る機会を提供する、日韓文化交流の拠点をめざす。
  • 金 鉉哲(キム ヒョンチョル) 東北大学 高度教養教育・学生支援機構 准教授/日韓交流サークル「SIJAK」主宰

    日韓次世代リーダーの絆を形成するための講演会活動  今の日韓には、「相互信頼の構築と相互理解の深化が必要」という信念から、2014年に日韓交流サークル「SIJAK」(シジャク=韓国語で始まりの意味)を仙台に設立、主宰してきた。ソウル支部、釜山支部を含めると日韓の若者が約450人在籍している。
     活動は主に韓国から著名人を招き、仙台で講演会を展開し、日韓の若者交流を推進してきた。2019年からは講演テーマから講師の選定にいたるまで学生主体の組織運営に転換した。
     2020年には社会的影響力の大きいインフルエンサーと呼ばれる人々を韓国から招聘して、最先端のオピニオンによって日韓の若者たちを刺激する。目標は、日韓次世代のリーダーたちの絆の形成にある。
  • ダンスハウス黄金4422 代表
    浅井 信好 芸術監督/舞踏家

    日韓協働で優れた振付家を育成し、芸術監督として名古屋でアジアダンス大会を開催。日韓協働で生まれた作品を発表する  代表の浅井氏は舞踏家だけでなく、芸術監督、プロデューサーとしても国際的に高い評価をうけている。浅井氏の目から見ても、韓国の大学には質の高いダンス教育のシステムが整っているという。韓国から優れた身体表現を学ぶために、主宰する「ダンスハウス黄金(コガネ)4422」は、ソウルの「New Dance for Asia」、大田(テジョン)の「FCD Dance Company」の2団体と提携関係を築いた。
     2020年8月にソウル市で開催予定の「第9回New Dance For Asia」。そして2020年11月に名古屋市で開催予定の「第1回黄金アジアンダンスプラットホーム」にて、アジアの新しい価値を創出するコンテンポラリーダンスを発表する。日韓協働で、世界レベルの振付家を育成する。
    ※写真:杉浦亜希(代理)
  • 栃木県日韓親善協会 代表
    青木 勲 北関東綜合警備保障株式会社 代表取締役会長

    少年柔道交流大会を通した日韓親善未来プロジェクト  栃木県日韓親善協会は、1987年から「日韓親善少年柔道交流大会」を開催し、 参加者の交流の輪を広げて、友好関係を深める機会を提供してきた。その中からは五輪メダリストの海老沼匡(エビヌママサシ)選手、高藤直寿(タカトウナオヒサ)選手など、多くの若き柔道家を輩出した。
     今後も、日韓友好の人材育成の場として「日韓親善未来プロジェクト」と位置づけ、2020年8月に韓国の高陽(コヤン)市で、2021年8月には宇都宮市で交流大会を開く予定。
    ※写真:生井昭男(代理)