2018年度の助成対象

Grant for 2018

2019年3月14日(木)、2018年度助成証書授与式は、東京・新宿区四谷の韓国文化院にて執り行なわれました。式典には、駐日大韓民国大使館から李洙勲(イ スフン)大使、元衆議院議長の伊吹文明衆議院議員、日韓親善協会中央会会長の河村健夫衆議院議員、在日本大韓民国民団中央本部の呂健二(ノゴニ)団長をはじめ各界のお歴々がご出席されました。
高麗(コマ)神社の宮司、高麗文康氏による特別記念講演「高句麗人の渡来と高麗神社」のあと授与式に移り、韓昌祐理事長から助成受贈者の3団体、4個人へ助成証書が手渡されました。続いて日韓交流レセプションが開かれ、終始和やかな雰囲気のもとに閉会しました。

助成受贈者(※敬称略)

  • Asia Computer Music Project 代表
    小坂 直敏 東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科教授/作曲家

    日韓コンピュータ音楽祭2019による学際的文化交流 Asia Computer Music Projectは、芸術音楽としてコンピュータ音楽を発表する場を提供するために2010年に設立された。IT技術を駆使した創作と発表会による学際的文化交流をめざして、日本、韓国以外に台湾、中国、シンガポール、タイでも開催。2019年7月に韓国の作曲家とIT技術者を招き、東京でコンサートを開く。併せて研究講演会を催し、国際文化交流を深める。
  • 李 苑暻(イ ウォンギョン) 上智大学 グローバル教育センター特任助教/国際情報通信学博士

    日韓デジタル外交の現状と両国相互理解のための課題 「デジタル外交」とは、サイバー空間で相手国の国民にメッセージを発信する活動を意味する。日本と韓国のデジタル外交の現状を分析し、各国が想定したデジタル外交の目標の達成度、そして両国の外交関係者と市民が相手国のデジタル外交をどのように認識しているかを調査研究する。日韓両国の相互理解と平和共存のために、専門家として今後の課題を提示する。
  • 熊谷 章子 岩手医科大学 法科学講座 法歯学・災害口腔医学分野准教授/医学博士

    韓国に学ぶ災害犠牲者身元確認作業の方法と標準化への推進活動 災害が発生すると遺体安置所には警察協力歯科医会に登録された一般の歯科医が派遣される。歯の治療痕から身元を確認する重大な責任がありながら適切な訓練を受けていない。韓国の李法歯学部門長を招聘し、国際標準に則った身元確認システムを学ぶワークショップを開く。これを機に将来的に韓国との国際的合同災害訓練を実施し、隣国との協力体制の構築を模索する。
  • 李 和眞(イ ファジン) 社団法人韓国国学協会 日本仙台支部長/韓国伝統音楽家

    日韓の高校生による民族交流の祭典~平和コンサート 興(フン) 韓国伝統音楽界で古くから「興」(フン)という言葉が使われてきた。楽しくなるという意味だ。人々を直感的に楽しませる韓国の体内リズム。生きる喜びのリズムでもある。次世代を担う日韓の高校生が「興」の体内リズムを共有して、豊かな日韓共存の未来へ進んでもらいたい。「興」の力で被災地に活気を取り戻してほしい。そんな願いを胸に民族音楽交流の祭典を企画した。
  • 百済文化国際シンポジウムプロジェクト 代表
    山岸 公基 国立大学法人 奈良教育大学 美術教育講座 造形芸術学教授

    百済文化国際シンポジウム2019・2020の開催と日韓若手研究者の育成 百済研究の二大拠点といえば、韓国の国立公州(コンジュ)大学校と国立大学法人奈良教育大学と言われている。両校は地道に国際学術交流を続けてきた。2019年に第12回百済国際シンポジウムを公州大学で、2020年には第13回百済国際シンポジウムを奈良教育大学で開催する。百済研究の活性化と若手研究者の育成を目的に、文化財科学、美術史学の研究、教育を重ねる。
  • 金 慧印(キム ヘイン) 東京藝術大学 文化財保存修復 日本画研究室専門研究員

    高麗仏画における「水月観音像」の月光表現に関する研究 高麗時代(918年~1392年)に多く制作された高麗仏画の水月観音像。中でも奈良国立博物館所蔵の「水月観音像」は芸術性の高さから特別の評価が与えられている。月光を感じさせる彩色技法は、なぜ可能だったのか。復元模写を通して、実技的な知見から彩色技法を解明する。こうした実証と研究により、文化財保存学、日韓両国の仏教美術史、韓国美術史に貢献する。
  • 感染症アーカイブズ 代表 
    飯島 渉 青山学院大学 文学部史学科教授/長崎大学 熱帯医学研究所客員教授

    済州島の風土病を制圧 日韓医師協力の歴史を掘り起こす 1970年代初頭、長崎大学とソウル大学校の教授を中心に日韓の寄生虫学者が済州島でフィラリア症対策を共同で実施。両者の協力で済州島の風土病を制圧した。戦後の日韓関係史を国際的医療協力の視点から捉え直し、日韓の医師が直面した具体的な課題や成果を明らかにする。このことにより今日の国際的な医療協力事業において、貴重な歴史的事例として提示する。