2014年度助成対象

Grant for 2014

2015年3月13日(金)、公益財団法人になって三度目の助成証書授与式および記念レセプションを開催いたしました。本財団の理事、評議員をはじめ各界から多数の方々の御列席を賜りました。2014年度の助成対象は4団体、7個人。11名の助成受贈者へ、本財団の韓昌祐理事長から助成証書が手渡されました。続いて行なわれた記念レセプションでは、祝賀コンサートが開かれるなど、終始和やかな雰囲気のものとで幕を閉じました。

助成受贈者(※敬称略)

  • ヘレン・リー 延世大学アンダーウッド国際大学教授

    植民地時代の朝鮮人児童の作文の実態 植民地時代の朝鮮人児童は、その目で何を見、何を書いたのか。その作文を同時期の日本人児童の作文と比較しながら、当時の朝鮮人児童の実態について、より広い視点で深く読み解いていく。成果は論文として、日本語圏・韓国語圏・英語圏の学術ジャーナルで発表する予定。
  • 和田 善夫(ワダ ヨシオ) 一般社団法人日本演出者協会協会理事長

    日韓演劇作品交流プロジェクト演劇でつながろう 2013年に実現した「日韓演劇作品交流プロジェクト演劇でつながろう」。日韓の観客に感動を与えると同時に、互いに刺激を受けながら、ともに舞台をつくり上げたことで友情を育んでいる。2015年4月にも、東京とソウルでそれぞれの若手演出家による公演が行われる。
  • 原田 環(ハラダ タマキ) 県立広島大学人間文化学部名誉教授

    井上角五郎の朝鮮関係著述に対する調査研究 『脱亜論』に代表される福澤諭吉の朝鮮論は、どのような状況で発せられたのか。福澤の朝鮮論の特質を実証的に明らかにするために、その前提作業として、福澤に影響を与えた門下の井上角五郎(1860~1938)の朝鮮に関する著述を広く調査し、収集・整理していく。
  • 岩﨑 輝行(イワサキ テルユキ) 特定非営利活動法人アジア図書館ネットワーク 代表/日本大学大学院総合社会情報研究科非常勤講師

    日本の除籍図書を韓国の図書館に寄贈する学術・文化交流 今、日本の図書館は経営の合理化や保管場所の不足などにより、有用図書でも廃棄を進めざるをえない状況にある。処分予定の有用図書をアジア諸国の大学、研究機関、公共図書館などに寄贈すると同時に、日本とアジア諸国の図書館ネットワークを構築し、知的交流を促していく。
  • 芹川 哲世(セリカワ テツヨ) 二松学舎大学文学部教授

    須永元の朝鮮観および朝鮮人士との交流-その思想と軌跡 開化派の亡命客である金玉均、朴泳孝らと交流した須永元(1868~1942)は、朝鮮独立運動を支援した義士として知られる。須永は漢詩文に親しみ、現栃木県佐野市で農業経営者としても活躍。朝鮮と深く関わった須永の活動と思想に光を当て、その全体像を明らかにしていく。
  • 小田 もゆる(オダ モユル) 音楽で手をつなごうプロジェクト日韓コンサート実行委員会 代表/打楽器奏者/東京成徳大学子ども学部非常勤講師

    日韓国交正常化50周年記念 日韓障碍者交流コンサート 日韓の障害者によるコンサートを日本と韓国で開催。障害者およびその家族が音楽を通じて交流することで、悩みや問題を軽減し、互いの絆を深めていく。同時に両国の人々に感動を与え、友好の輪を広げる原動力となるような活動をする。ホームステイや交流会も実施する。
  • 林 炫 情(イム ヒョンジョン) 山口県立国際文化学部教授/国際化推進室室長

    日本と韓国のグローバル地域マインド形成のための協働研究 「グローバル地域マインド」とは、国境や文化を越え、世界的な視野で地域の問題解決に取り組む姿勢を指す。持続可能で健全な地域社会形成のために、日本の山口市と韓国の昌原市を結び、過疎化や空洞化などの課題を共有し、その解決策をともに考える場を提供する。
  • 原田 静香(ハラダ シズカ) 東京大学大学院人文社会研究科韓国朝鮮文化研究専攻博士課程

    韓国人青年の相互行為に関する人類学的研究 韓国の若者の言葉や自己表現の技法、相互行為について関心をもち、現在、ソウル大学人類学科大学院で学びながら、韓国の若者の「楽しさ」を創出しようとする言語行為を調査中。学術分野への還元はもちろん、似て異なる文化に触れる驚きと興味を若い世代へ伝えていく。
  • 本田 洋(ホンダ ヒロシ) 東京大学大学院人文社会系研究科准教授

    韓国の地域社会における帰農・帰村現象に関する社会人類学的研究 韓国社会の帰農・帰村現象について、移住者と地域社会との関係、移住者の増加・多様化、帰農・帰村政策の展開に伴う地域社会の変化を中心に、民族誌的研究手法で究明する。調査対象の地域と近隣の他地域を比較しながら、地域社会の再活性化の可能性を総合的に検討する。
  • 伊地知 紀子(イヂチ ノリコ) 日韓海女文化研究会 代表/大阪市立大学大学院文学研究科教授

    日韓海女の社会・文化・歴史に関する共同研究 世界では稀な職業である海女について、漁にかかる技術や知識、また道具や儀礼、操業形態や採集対象物などの変化を踏まえながら海女文化の変容について調査研究する。その成果を日韓両国でのシンポジウムおよび写真展開催により研究者のみならず広く市民にも提供する。
  • 端野 晋平(ハシノ シンペイ) 徳島大学埋蔵文化財調査室室長/准教授

    集落分析による韓半島から日本列島への水稲農耕伝搬機構の解明 日本に水稲農耕をもたらした渡来人が、なぜ日本列島に到来したのか。いまだ未解明のこのテーマについて、地理情報システムを用いて韓半島南部の青銅器時代(紀元前15~5世紀)における集落遺跡を分析するなど、韓半島から日本列島への水稲農耕伝播機構を解明していく。